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正当な事由なく配置転換,転勤,出向を拒んだとき。
その他前各号に準ずる不都合な行為をしたとき。
〔誠実信頼関係〕会社の内外を問わず金品を隠匿したり,着服したり,許可なく物品を社外に持ち出したとき。
会社や他の社員を誹誇中傷し,その名誉と信用を傷つけたとき。
会社の内外を問わず暴行,脅迫,傷害,賭博またはこれに類する行為,もしくは恥辱等の行為をしたとき。
業務上の秘密,会社が指定し管理している営業秘密や会社に不利益となる事項を第三者に漏らしたとき。
本人または他の社員の安全および健康に定められた事項を遵守せず危険または有害な行為をしたとき。
故意に会社設備,機械,器具,商品,コンピュータ記録等を汚損や破損したとき。
その他前各号に準ずる不都合な行為をしたとき。
〔施設管理関係〕会社の許可なく施設内において宣伝,演説,放送,集会,署名,ビラの配布,ビラの貼付等の活動をしたとき。
その他前号に準ずる不都合な行為をしたとき。
〔教唆関係〕他の社員を教唆し,または煽動等して会社に不利益を与える行為をさせ,またはさせようとしたとき。
いろいろな懲戒処分の対象事由がありましたが,どうですか。
以下,いまみてきた就業規則の懲戒処分の対象事由のうち,よく問題となる対象事由について,どのような点が問題となっているのか,みていくことにしましょう。
経歴詐称経歴詐称とは,一般に社員が企業に採用される際に提出した履歴書や面接などにおいて学歴,職歴などを偽わり,犯罪歴を秘匿することをいいますが,学歴においては,低い学歴を高く偽わることばかりでなく,高い学歴を低く偽わることも含まれると解されています(Mb金属鉱業事件・東京地決昭46.11.25労経速777号3頁,N鋼管鶴見造船所事件・東京高判昭56.11.25労民集32巻6号828頁)。
このような経歴詐称については,民法95条の錯誤や民法90条の詐欺によって労働契約無効の取消をなしうるにすぎないとも考えられますが,裁判例は,企業が採用過程において経歴を調査するのは,その労働力の提供が企業の求める条件にあうか否かを決定するためであり,しかも採用後の職務の決定などを決定する資料とするためのものであって,その判断が詐称により誤らせられるということになれば,労使の信頼関係は失われ,結果として企業秩序や企業経営に支障を生ぜしめるおそれがあり,信義則に反する行為として懲戒処分の対象になると判示しています(Kcエ業所事件・東京地判昭60。
5.24労経速1227号6頁,Ts精工業事件・最高1小判平3.9.19労判615号16頁)。
では,経歴詐称であれば,その程度は問わないのかというと,そうではありません。
裁判例は,「重大な経歴の詐称」について懲戒処分の対象とするものが多い傾向にあります。
それは,企業がその事実を知っていたならば,採用しなかったであろうと思われるところの経歴の詐称ということであり,学歴,職歴,犯罪歴の詐称が一般的にはこれにあたります。
たとえば,大学中退を高卒と詐称し,また職歴も偽わっていたという事案(Kcエ業所事件・東京地判昭60.5.24労経速1227号6頁)や大学入学の事実もないのに大学中退として,また警察学校在籍期も含めて1年5ヶ月しか勤務しなかったにもかかわらず警察官として9年勤務と詐称した事案(S住宅ローン事件・東京地決昭60.10.7労経速1239号3頁)については,裁判所はいずれも懲戒解雇を有効としています。
職務慨怠無断欠勤,出勤不良などの職務僻怠については,それ自体は労働契約の債務不履行であって,懲戒処分の対象事由となる性質のものではありませんが,それが企業秩序違反の行為として職場秩序を乱すものであると認められるに至った場合には,懲戒処分の対象となります。
たとえば,製薬会社の外商員の定められた得意先訪問ルートにしばしば違反し,上司から再三叱責をされ,受持区域外の喫茶店に2時間くらい入って他の外商員と話しこみ,始末書を提出させられたにもかかわらず,再度同様のことなどをしたといった事案について(T製薬事件・東京地判昭54.3.27労判318号44頁),またタクシー運転手の接客態度不良に対する再三の注意にもかかわらず,近距離の乗車に対して「そこまで歩いていけねえのか」と怒鳴りつけたという事案について(sy交通事件・浦和地裁川越支判昭62.3.25労経速1287号18頁),さらに,テレビ局社員が欠勤,早退,遅刻,離席をくり返し,1年間ほとんど勤務せず,上司に反抗し悪態をつくしたという事案について(Nテレビ事件・東京地判昭62.7.31労経速1303号11頁),裁判所はいずれも懲戒解雇を有効としています。
業務命令違反業務命令違反の典型的な例は,就業に関する上司の指示・命令違反ですが,その他にも残業命令拒否,出張命令拒否,配転命令拒否などが業務命令違反となり,懲戒処分の対象となります。
しかし,それは業務命令違反であるからといって,ただちに懲戒処分の対象となることを意味するものではなく,この場合には,その業務命令が正当なものであったか否か,そして社員にはその命令を拒否するにつき,やむを得ない事由があったか否かの具体的な検討のもと,その拒否が業務命令違反になるか否か判断されることになります(残業命令拒否については,Ht製作所武蔵工場事件・最高1小判平3.11.28民集45巻8号1270頁,配転命令拒否については,東亜ぺイン卜事件・最高2小判昭61.7.14労判477号6頁,健康診断受診命令拒否については,D公社帯広電報電話局事件・最高1小判昭61.3.13労判470号6頁)。
しかも,その業務命令が,社員の人権や尊厳を侵害するおそれがある場合については,より厳しい業務命令の正当性の要件が課されることになります。
その代表例が「所持品検査命令」です。
この点について,最高裁判例は企業にとって所持品検査命令を必要とする合理的な理由があり,その検査の方法が一般的に妥当な方法で行われており,しかもそれが就業規則などの規定にもとづいて社員に対して画一的に実施されているものである場合に限って,適法な業務命令として,これを認めることができると判示しています(Nn鉄道事件・最高2小判昭43.8.2民集22巻8号1603頁)。
したがって,これらの要件を満たさない所持品検査命令は,適法な業務命令とはいえず,その有効性は否定され,違法とされることになります(Ht物流事件・浦和地判平3.11.22労判624号78頁)。
職場規律違反職場規律違反は,職務僻怠や業務命令違反と重複することにもなりますが,その代表例としては,横領・着服,不正行為,同僚や上司への暴行・暴言,業務妨害,職場内での政治活動や演説・集会・貼紙・ビラ配布などで,懲戒処分の対象となります。
横領・着服について,裁判例はその金額の多寡,回数の多少にかかわらず,懲戒解雇を有効とする傾向にあります(N自動車事件・福岡地判昭60.4.30労経速1236号15頁など)。
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